情報処理安全確保支援士試験は、情報処理技術者試験の中で唯一、士業として認定される試験です。
また、情報処理技術者試験の中でもレベル4に位置し、最高難易度の試験の一つです。
本記事では、情報処理安全確保支援士試験の概要から合格率、難易度、勉強時間までを徹底解説していきます。
情報処理安全確保支援士試験 とは
情報処理安全確保支援士試験は、情報処理推進機構が主催する情報処理技術者試験の一つで、高度な情報セキュリティに関する知識や技術を有していると証明するための国家試験です。
- レベル1:ITパスポート試験
- レベル2:基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント
- レベル3:応用情報技術者試験
- レベル4:情報処理安全確保支援士試験、ネットワークスペシャリスト試験 etc…
この区分の中で、情報処理安全確保支援士試験は「レベル4」の位置付けになっています。
多くの人が応用情報技術者試験に合格後、次の目標としてこの試験に挑戦します。
他の情報系資格との決定的な違い!?
情報処理安全確保支援士試験に合格し、手続きを行うことで士業として認められます。
情報処理安全確保支援士試験に合格後、特定の手続きをしないと士業は名乗れません。
他の情報系資格の応用情報技術者試験や基本情報技術者試験、ベンダー資格では名乗ることができません。
試験時期
春季 | 秋期 | |
---|---|---|
試験日 | 4月第3日曜日 | 10月第2日曜日 |
申込期間 | 1月中 | 7月中 |
情報処理安全確保支援士試験は、年2回で春期(4月)と秋期(10月)に全国の指定された試験会場で一斉に実施される筆記試験です。
試験形式
情報処理安全確保支援士試験は、午前I試験と午前II試験、午後試験に分かれていて、同日に午前I試験と午前II試験で多肢選択式(四肢択一)、午後試験で記述式の問題を解きます。
午前 I 試験 | 午前 II 試験 | 午後試験 | |
---|---|---|---|
試験時間 | 9:30~10:20(50分) | 10:50~11:30(40分) | 12:30~15:00(150分) |
出題形式 | 多肢選択式(四肢択一) | 多肢選択式(四肢択一) | 記述式 |
出題数・解答数 | 出題数:30問 解答数:30問 | 出題数:25問 解答数:25問 | 出題数:4問 解答数:2問 |
午前I試験と午前II試験、午後試験ともに、合格点は午前試験・午後試験で100点満点中60点です。
午前I試験は18問、午前II試験は15問、出題数の6割を正解すれば、午前試験は突破することができます。
メリット
情報処理安全確保支援士試験を合格することで幅広いセキュリティ知識を習得することはできます。
それ以外にも、情報処理安全確保支援士試験に合格することで得られるメリットを紹介していきます。
- 士業を名乗れる
- 資格試験の一部免除
- 資格取得手当・キャリアップ
- 進学・就職・転職で有利になる
士業を名乗れる
上記でも記載しましたが、情報処理安全確保支援士試験に合格し、正式に手続きをすると士業を名乗ることができます。
情報処理安全確保支援士試験に合格後、特定の手続きをしないと士業は名乗れません。
他の情報系資格の応用情報技術者試験や基本情報技術者試験、ベンダー資格では名乗ることができません。
昨今はサイバー攻撃やマルウェアのセキュリティ対策として、多くの人材がさらに必要とされるため、今後も需要が増加する可能性があります。
資格試験の一部免除
情報処理安全確保支援士試験に合格すると、情報処理技術者試験の他の高度試験を受験する際に、共通的知識を問う午前Ⅰ試験が免除され、午前Ⅱ試験から受験することが可能です。
情報処理安全確保支援士試験の合格者は、情報技術者試験以外にも「中小企業診断士」と「弁理士」、「技術士」の受験においても一部の科目を免除されるという特典があります。
- 高度試験:午前Ⅰ試験
- 中小企業診断士試験:経営情報システム
- 弁護士試験:理工V(情報)
- 技術士試験:情報工学部門 第一次試験 専門科目
情報処理安全確保支援士試験が、その他の資格試験においても有効と認識されている証拠です。
資格取得手当・キャリアップ
多くのIT系企業では、情報処理安全確保支援士試験の資格保有者に対して資格取得手当や報奨金を支給しています。
ただし、支給額や条件は企業ごとに異なるため、それぞれの企業の制度を確認する必要があります。
それ以外にも、情報処理安全確保支援士の合格を昇進の条件として設定している企業もあります。
IT企業でキャリアを進めたいと考えている方にとっては、早期の資格取得がおすすめと言えるでしょう。
このように、情報処理安全確保支援士試験の合格は、IT知識やスキルの習得だけでなく、収入の増加やキャリアアップの可能性を高める重要な資格となります。
進学・就職・転職で有利になる
情報処理安全確保支援士試験に合格すると、進学や就職、転職時の大きなアドバンテージとなります。
高度なIT知識とスキルを持っていることが認められ、その知名度と難易度からIT関連資格の中でも評価が高いです。
また、大学生や専門学生が就職活動を行う際、あるいは社会人が転職活動を行う際にも、情報処理安全確保支援士試験の資格を持っているとITに関する知識やスキルが認められ、IT企業からの内定を得やすくなります。
情報処理安全確保支援士試験に合格した専門学校の先輩が、就職活動で試験に合格していることを伝えると、面接官の反応は良かったです。
情報処理安全確保支援士試験に合格することで、進学や就職、転職時には有利に働くことが多いです。
デメリット
情報処理安全確保支援士試験に一見デメリットのように感じられる点が存在しますが、実際には自身のキャリアパスや考え方次第で大きく変わります。
したがって、この試験を必要と感じる場合、積極的に取得を検討することを推奨します。
- 意味ない資格!?
- 独占業務がない
意味ない資格!?
情報処理安全確保支援士試験は、弁理士や公認会計士のように特定の業務を独占できる資格ではないです。
資格を持たなくてもIT業界で活躍しているプロフェッショナルは数多くいるため、「情報処理安全確保支援士試験は意味のない資格」と誤解されがちです。
しかし、情報処理安全確保支援士に合格している人材は多くないため、IT系企業では評価される可能性が高いです。
そのため、「意味ない」と一概に断じるのではなく、自身のキャリアや目指す職種によっては大きなアドバンテージとなることは間違いありません。
独占業務がない
情報処理安全確保支援士試験に合格することで「士業」を名乗ることはできますが、独占業務(特定の資格を取得していないとできない業務)がないため、セキュリティ業界で必須の資格とされていません。
そのため、あえて勉強や受験しない人も一定数います。
しかし、上記でも記載したように、情報セキュリティに関する知識を有していること証明することはできます。
試験の難易度
情報処理安全確保支援士試験の難易度を理解してもらうため、合格率と合格に必要な勉強時間、偏差値を紹介します。
合格率は約20%
情報処理安全確保支援士試験の合格率は約20%で、受験する4人中1人しか合格できないという厳しい現実があります。
受験日 | 応募者数 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 (合格者数÷受験者数) |
---|---|---|---|---|
令和6年春期 | 19,565人 | 14,342人 | 2,769人 | 19.3% |
令和5年秋期 | 20,432人 | 14,964人 | 3,284人 | 21.9% |
令和5年春期 | 17,265人 | 12,146人 | 2,394人 | 19.7% |
令和4年秋期 | 18,749人 | 13,161人 | 2,782人 | 21.1% |
令和4年春期 | 16,047人 | 11,117人 | 2,131人 | 19.2% |
このように合格率は約20%なため、情報処理安全確保支援士試験は難易度が高い試験といわれています。
合格するための勉強時間
IT系に全くの未経験の場合は、600時間~1000時間の学習が必要です。
ただし、これらの時間はあくまで目安であり、個々の学習スタイルや既有の知識レベルにより変動します。
偏差値は約60前後
情報処理安全確保支援士試験の偏差値は約60前後とされています。
ただし、偏差値はあくまで一つの指標であり、個人の学習スタイルや得意分野により、実際の感じる難易度とは変動します。
僕が合格した勉強法
以下の記事では、僕が実際に勉強した手順を記載しています。
まとめ
情報処理安全確保支援士試験は、情報処理技術者試験の中で唯一、士業として認定される試験です。
合格率、合格に必要な勉強時間、そして偏差値を見ていただければわかる通り、準備が不十分な状態では合格することは非常に困難です。
効率的な学習方法を確立し、計画的に受験に向けて努力することが合格への道のりをスムーズにするための重要な要素となります。
みんなで情報処理安全確保支援士試験を取得していきましょう!
最後までご愛読ありがとうございました。